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reaction reason
 
 
 高等部に上がったからと言って、私の状況に変化はない。
 身体を動かすのが好きだった。だから部活は最初から運動部以外頭になかった。最初に見学に行ったところが楽しそうだった。それが中等部でバスケをはじめたきっかけ。
 落ち着きのない性格のせいでたくさんのミスを練習、試合問わずにした。でもチームメイトは優しかったからいつも許してくれて、私はそのたびにもっとうまくなろうって思った。
 中等部の3年間、私は部活を休んだことは一度もない。器用じゃないから一度でも休んだら、もううまくなれない気がしていたということもある。でも、何と言っても私はバスケが好きだった。だから優しいチームメイトと大好きなバスケが待っている部活は夢のような時間だった。
 夢のような時間はあっという間に過ぎるもの。中等部の3年間はバスケに明け暮れていたら新幹線くらいの速さ(と言っても乗ったことはないけど)で本当にあっという間に通り過ぎた。あんまり私がバスケバスケと言うものだからお母さんは心配したのかもしれない。女の子らしいことをさせようと考えた結果なのか、部活が休みの日は必ずと言っていいほどお菓子作りを教え込まれた。
 中等部にいる間に私はバスケとお菓子作りがうまくなった。バスケの方が断然好きだったけど、うまくなっていくのがわかれば最初は面倒だったお菓子作りだって楽しくなる。それに毎日動き回る私はそのお菓子だってたくさん食べても太ることなんてなかったのだ。
 上達したバスケとお菓子作りの腕。私はお菓子作りの方は大体満足だったけど、逆にバスケの方はそれなりにはうまくなったとはいえ、もっともっとうまくなりたかった。
 中等部から高等部に上がるときに受ける試験は形だけの物だってみんな知っている。そして形だけのものならちゃんと勉強なんてするわけがない。
 受験がない。それはつまり引退する理由がないということだ。私は3月の初めまで部活に顔を出し、春休みはうずうずしながら過ごした。早くまたバスケがしたい。そればっかり考えて、落ち着かないからランニングに出て、走り出すともっと落ち着かなくなったりした。
 高等部の入学式も落ち着かなかった。だって会場が体育館なのだ。心が躍ってしまうのは無理もないことだと思う。
 中等部のそれよりもずっと広いコートと高いゴール。この広さだと…あの高さだと…。考えるだけでも楽しかったけど、やっぱり私は実践の方が好きだから考えてるだけじゃ足りなかった。
 新学期すぐは部活もまだないから。残念だけど新学期最初の活動日に私は入部した。もちろん仮入部なんてまどろっこしいことは最初から頭になかった。入部届を渡しに訪ねた部長は中等部のときも部長だった人で私のことを覚えていてくれたけど、そのとき「やっぱり来たわね」とちょっとだけ笑われた。
 そんな私が高等部に『姉妹』という制度があるということを知ったのは、部内で同級生の1人が先輩からロザリオをもらってその『姉妹』になったとき。私はその同級生がそれまで以上にがんばるようになるのを見て、『姉妹』になったら私ももっとバスケをがんばれるようになるのだろうかとちょっと真剣に思った。そして、私にも誰かロザリオをくれないものかと考えるようになった。
 …誰もくれなかったけど。
「まあ、あなたはみんなの妹って感じなのよ」
 そんな風に言われたのはもうすぐ4月も終わりというある日のこと。ふと、どうして私にはお姉さまができないのでしょうか?、と1人の先輩に尋ねたときだ。
 その先輩、本多美弥さまが面白そうにその話を振ると、3年生や2年生のお姉さま方はそろってそれにうなずいた。その空気はとても和やかで楽しげで、ロザリオをもらえない私は自分が嫌われたりしているのかとちょっと心配していたからほっとはしたけれど、ほんの少し寂しかった。
「お姉さま方みんなから可愛がられてるってすごいことじゃない」
 とはいえ、私は単純だったから、同級生の1人にそう言われるとあっさり立ち直った。元々落ち込んでいるなんて言わないくらいにしか落ち込んでいなかったということももちろんあったけど。
 みんなの妹というのは考えてみると私にぴったりかもしれなかった。別に誰かと『姉妹』にならなくたってバスケをうまくなりたい気持ちに変わりはない。だとしたら、私ががんばる理由は誰か1人のためじゃなくて、みんなのためってことにしておくのもいいんじゃないかと思ったのだ。
 それに、その言葉は嘘じゃなくて先輩たちはみな優しかったのだ。
 
 
 ハラハラしてドキドキしたマリア祭から少し、その日も私は放課後すぐに部活に向かった。
 が、体育館に行くと部長からいきなり用を言いつけられてUターン。いや、戻るのが自分のクラスじゃないから必ずしも「U」ではないのだけれど、まあそれはいいとして。
「美弥に来るときにはあれを持ってくるように言ってきて」
 言いつけられた用は本多美弥さまへの言伝。「あれ」は私にはよくわからないけど、部長と美弥さまは姉妹だからきっと2人の中では通じる言葉なんだろう。私は普段ならすぐにでもボールを追って走り回りたいから不承不承で行くところだったかもしれないけれど、そのときは2人の姉妹の間の秘密の何かに触れさせてもらっているような気がして、お遣いも嫌じゃなかった。
 ただ、ちょっと落ち着かない感じもする。だって美弥さまには妹がまだいない。その美弥さまのところへお姉さまである部長が私をお遣いに出した。だから、「もしかしたら…」って少しくらい私が考えてしまったのもそれは仕方ないことなのだ。
 それにそんな妄想と言った方がいいような想像はどうせ叶わないし、叶わなくても私はもう落ち込んだりもしないし。やっぱりそのくらいのことは許してもらえるはずだ。
(美弥さまのクラスは2年藤組だから…)
 その教室から体育館までの最短距離はどのルートだろう? 高等部に上がって2か月になる私はもう高等部の敷地で迷うことなんてなくなっていた。ただそのときは自分がいつも行き来するルートとはちょっと違ったことと、美弥さまがもしかしたら通るかもしれないからキョロキョロしながら歩いて…いや、ちょっと駆けていた。
 そんな私に注意が入ったのは体育館と校舎の間、下校時刻だから部活をしていない生徒が普段はもっとたくさんいてもよさそうなのに、なぜだかその日は人通りのほとんどないその場所。
「こんなところで慌てて走っては駄目よ」」
 私は後ろからかけられた声に振り返る。
「慌てているようだけれど、何かお探し?」
「あ…」
 そのときそれこそ慌てて私が飲み込んだ言葉は「あちゃー」だ。
 私は思った。マリア様というのは学園の隅々までよく見ているものだと。私に声をかけたその人はひときわ小柄で、だけどその話し方や雰囲気は明らかに上級生のもの。となれば、私のような下級生は呼び止めて注意をするのが当たり前なのだ。
 とりあえず、その人の質問に私は答えることにした。きっと答えたあとで怒られるのだろう。どんな理由があってもいつもリリアン女学園の生徒らしくいなさい、といった具合に。
「あの……2年生を探しているんですけれど…いつもこの辺りにいるはずなので」
「あなたのお姉さま?」
 聞かれたので私は笑って首を振った。
「いいえ。クラブの先輩です」
(でも、お姉さまになってくださったらいいなと思っている人ですけど)
 私はまたキョロキョロと、この瞬間に美弥さまが通り過ぎてしまったらまずいと思って辺りを見回した。なぜか目の前の人も釣られたようにキョロキョロしていた。
「私も知っている人だったら一緒に探してもいいわよ?」
 そう言われて、「あの、どうしてお叱りにならないのですか?」と口からこぼれそうになって、急いで飲み込んだのはその人には内緒。自分からわざわざ申告するほど私はいい子じゃない。代わりに探している人がバスケ部の本多美弥さまであることを告げるとその人の反応はあまり思わしくなかったから、残念ながらその人は美弥さまと知り合いではないのだと私は理解した。
「あ…」
 そのとき目に映った人を見て私はつぶやいた。白薔薇さまである藤堂志摩子さまが妹の二条乃梨子さんと一緒に歩いていたのだ。
 私は目の前にいる私よりも背の小さい上級生が、どうしたの? といった顔をしていたので聞かれる前に答えた。
「美弥さまは白薔薇さまと同じクラスですから。白薔薇さまがあそこにいるということは、やっぱりホームルームは終わっているということなんです」
 その人が納得した顔をして、「そう、それじゃあ大丈夫ね」 と言って背を向けると同時に私は白薔薇さまに駆け寄ろうと足を踏み出した。
 瞬間、私は白薔薇さまではなく地面に向かってまっしぐら。頭で考えるより早く手が動いて顔は打たなかったけど、「ガスッ」だか「ガツッ」だか、いずれにしても嫌な音は妙に耳に残った。
(いったたたた…!)
 見事なくらいにすっ転んだ私は一番の痛みが膝から来ていることを理解すると倒れたままそこに目を向けた。すると…。
「大丈夫?」
 さっきの小柄な上級生が駆け寄ってきて、私のすぐ横に座り込んだ。その人の驚きに心配の混じった顔と血が滲んでいる膝を交互に2回見て、私はひどく落ち込んだ。なんて私は落ち着きがないんだろうと。
「痛い? こんなところで急に走り出すから罰が当たったのよ」
 その人があきれたような口調だったことがありがたかった。優しい言葉や心配そうな言葉よりずっといい。とりあえず起き上がって片膝を立てて座った。まだちょっと立ち上がるのは無理みたい。とりあえず、ふうっと軽く傷口を吹いてみたらやっぱり痛かった。
 と、私がそんなバカをした直後。横に座っていたその人の手が私の膝に伸びた。握られているのはきれいな白いハンカチ。
「あっ…」
「大丈夫、まだ使っていないからきれいよ」
 その人が傷口にそのハンカチを当てる様子があんまりためらいのないものだったから、私は言えなかった。そんなきれいなハンカチ、こんなことに使っちゃダメです! とは。
「あとは自分で拭きなさい」
 そう言って私の手を取り傷口を押さえさせるとその人は立ち上がった。
「あ、ハンカチ……」
「あげるわ。もう1枚持ってきているから」
 背を向けると足早に去っていくその人はハンカチも私も顧みることはなく、その小さな後姿はあっという間に見えなくなった。私はまだ、ぶつけた膝が痛くて立ち上がることができなかった。
 
 
 あとから考えたら、そのときの私はどうかしていた…じゃなくて、すごかったのだと思う。
「どうしたの?」
「あ! 血出てるよ。大丈夫?」
「いえ、何でもないです。それよりもご存知ありませんか?」
 だって、そのとき私が尋ねていたのは白薔薇さまである藤堂志摩子さまと、その妹で白薔薇のつぼみである二条乃梨子さんだったというのに。
 どうしてだろう。私はそのとき間近で見ると息をのむほどに美しい白薔薇さまも、黒々とした髪と瞳で思っていた以上にきれいだった乃梨子さんも、そして、強打して血が滲んでいた膝小僧も気にならないほど気になっていたのだ。
 この手の中にあるハンカチ、あきれたようにそれを渡すとすぐにいなくなってしまった人。
 鵜沢美冬さま。
 白薔薇さまが教えてくれたその名前を私は胸の中で繰り返した。
 膝の傷口から離したハンカチを見つめるとそこには、真っ新な白にはっきりと残った黒ずんだ深い赤の染み。
(美冬さま、ごめんなさい。美冬さま、ごめんなさい。…)
 いつの間にか頬には涙が伝いはじめて、自分が泣いてることに気付くと涙はそれまでよりもう少し、遠慮なく私の瞳からこぼれ落ちた。
「痛いのね。やっぱり保健室に行きましょう」
「いいえ。違うんです」
 確かに私は痛かった。もちろん膝だって痛くないと言えば嘘だった。でも、私にとって痛かったのは胸の方。
 新品のハンカチが夢見るのは、突然見も知らぬ人間に引き渡されてその血を拭うことなんかじゃないはずだ。それなのに、私の手の中のハンカチはその役目を本当の持ち主から与えられてしまった。それはまるで捨てられるような手放され方。だからひどくひどく哀しかった。
「ねえ、志摩子さん。どうかしたの?」
 白薔薇さまたちの後ろからのぞき込んだ人が美弥さまだとわかると私は叫ぶように言った。
「今日、部活休みます!」
 私の頭からは言いつけられた用なんてすっかり吹き飛んでいた。だって、ことは一刻を争うのだ。
 近くの水道まで全力で走った。体操服だからセーラーカラーもスカートのプリーツも無いけれど、それがあってもそのときの私には関係なかったことは、注意しなかった白薔薇さまたちもわかっていたのだと思う。もちろん走ったときに膝が痛かった記憶もない。
 水の勢いを強くしてその場で落とせる限りの血をハンカチから落とした。
 すぐに制服に着替えると家に帰って、今度はぬるま湯と洗剤で丁寧に私の汚れを真っ白な美冬さまのハンカチから消した。
 …でも、ダメだった。
 ハンカチは美冬さまの手の中にあったときにようにきれいな姿には戻ってはくれなかったのだ。
 私はまた泣いた。
(「痛い? こんなところで急に走り出すから罰が当たったのよ」 )
 その言葉を思い出すと涙は止まらなくなった。私はただそのとおりだと納得するしかなかった。
 私には罰が当たったのだ。だって、こんなにも胸が痛くてたまらない。だって、このハンカチが元に戻らなきゃ、美冬さまに返しに行けない。
 お風呂場で泣きじゃくる娘をお母さんが発見してからなだめて落ち着かせるまでにかかる時間はどれくらいだろうか?
 正解は……、お母さんに聞いてみないとわからない。恥ずかしいからきっと聞くことはこれからもずっとないけれど、それが30分より長いことだけは確かだった。
「大丈夫。ちゃんと落ちるわよ」
「…ほんと?」
「ええ、本当」
「ほんとに、ほんと…?」
「本当に本当」
「ほんとに、ほんとに、本当?」
「本当に本当に本当」
 そんなやり取りだけでも私が覚えてるだけで3回はあった。まったく、どうしてそのときの私はそんなにも動転していたのだろう。
 とにかく私はそれからすっかり忘れていた膝の傷の手当をして、お母さんの淹れてくれたミルクティーでもう少しだけ落ち着いてから、おばあちゃんに電話をかけた。教わった血液の染みを落とすコツのとおりに洗濯をして、そこから私の血の跡が消えてなくなったときは心の底からほっとして、ただただ、おばあちゃんとお母さんに感謝した。ついでにマリア様にも。
 アイロンを丁寧に、少し恐る恐るかけるとそれは、新品ではなくなってしまったけれど美冬さまが差し出したときのようにちゃんときれいな白。これでこのハンカチを美冬さまに返してあげられる。なぜだか私の瞳はまた少し潤んだ。そのとき心の中に浮かんだ「これで嫌われなくて済む」という言葉は私自身にも意味がわからなかった。
 それから、よく考えればそもそも迷惑をかけた私は好かれているか嫌われているかで言えばどう考えても答えは明らかだということに気付くと、私はそれまでで一番真剣にお菓子を作った。ハンカチを返すときに一緒に渡すお礼として。
 普段どおりにやればうまくいく。そうわかっていても思った。どうしてもっと、いつでも自信を持てるくらいにお菓子作りの腕を上げておかなかったのだと。
 作ったのはチョコトリュフだった。それが私の一番得意で一番好きなお菓子だったから。それまでで一番真剣にそれに臨んだ私はそれまでで一番緊張して、だけどそれまでで一番美味しいチョコトリュフを作り上げた。
 
 
 翌日、早起きした私は銀杏並木の途中でその人を待っていた。
 手に持っている包みは2つ。小さな包みは美冬さまのハンカチ、それよりちょっと大きい包みはチョコトリュフの箱。チョコの方は大っぴらに学校に持ってきていいものではないから、袋のまま渡すために紙袋も淡い色の可愛いものを用意した。
 なんだろう。染みもちゃんと落としたからもう心配はないはずなのに落ち着かない。
 身だしなみだって家を出る前に念入りにチェックしたから注意されるようなところはないはずだし、今日は走り回ったりなんてもちろんしない。だけど、そうやって「大丈夫」を積み上げているのに心は全然安心のラインに達しないのだ。私は思わずハンカチの方の包みを開けて、もう昨日から何度目かわからない確認をした。
(うん、大丈夫。…だよね)
 またきれいに包みを閉じる。でも、やっぱり落ち着かない。どうしちゃったんだろう。私は自分がよくわからなかった。
 と、そのときだ。銀杏並木をこちらに歩いてくる姿が見えた。背が高いとすぐに見つけられるというのは普通だと思うけど、私にはとても小柄なその人がすぐに見つけられたのだ。
「美冬さま」
 名前を呼んだら緊張が増した気がしたけど、とにもかくにも私に気付いてくれたその人に最初に言う言葉は決まっている。
「ありがとうございました」
 小さい方の包みを差し出す。美冬さまは少し怪訝そうな表情でその包みを開けると、また、少しあきれたようにつぶやいた。
「あげる、って言ったじゃない」
 確かに言われたけど、でも! そのハンカチは美冬さまに使ってもらいたいはずだから。
 私は間を置くことなく今度は大きい方の包みを差し出す。ハンカチのときよりも胸がドキドキして何だか少し早口になった。
「美冬さま、これ、ハンカチのお礼です。受け取ってください」
「チョコレート?」
(えっ!!)
 紙袋を見ただけなのにどうして!? 聞かれた私はあんまりびっくりして一瞬ぼんやりして、それから大きな声で尋ねていた。
「すごい、美冬さま、どうしてわかったんですか?」
「どうして、あなたが私の名前を知っているの?」
 ちょっと困った顔をして、別のことを尋ね返してきた美冬さまには「白薔薇さまに教えていただきました」とすぐに答えた。どうしてどうして? 私には美冬さまが紙袋越しに中身を透視できた理由の方が断然気になっていた。
「私、お菓子作りが趣味なんです」
 それでそれで、どうして美冬さまはおわかりになったんですか? 
 私はまるでエサをせがむ子犬のように美冬さまに何度も尋ねた。でも美冬さまは答えてくれなくて、何か考え事をしているよう。だけど私は全然すねたりしなかった。だって考え事をしているような美冬さまなのに私のことはちゃんと見ていてくれて、その瞳はとても優しかったのだ。だから私は、きっと自分は迷惑じゃないって勝手に確信した。
 そして、そんなまとわりつく私に美冬さまはちょっと真剣な口調で1つ質問をした。
「あなた、いきなり引っ越したりしないわよね?」
(………?)
 ぽかーん。私はその質問があんまり唐突でわからないものだったから、ただ首をひねるしかなかった。
 美冬さまは微笑む。どうしてそんな質問をするのかとか、どうしてそんなに面白そうに私を見てるのかとか、全然わからないけど、でもいいって思った。美冬さまの瞳が笑ってる。優しくて、暖かい。だから、よくわかんないけどいいんだ。
 美冬さまは小さく1つ息をつくと私の名前を聞いてくれた。
 私は名前を答えたあとに、一応さっきの質問の答えを付け加えた。
「引っ越しの予定はありませんけど?」
 
 
 
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