雪に閉ざされた少女の村にやってきたのは美しい女

少女は女を慕い 女は少女を愛でる

少女は女の奏でる楽器に耳を澄ます

あなたも楽器を覚えたい?

女の言葉に少女はにっこりうなずく

お姉さま 私は笛が吹きたいです

少女はお姉さまと笛を吹く

季節は移り 女の旅立つ日が近づいた

少女はただ悲しむ その日が近づくのに怯えながら

お姉さま 私は独りでは笛が吹けません

少女を見ていた 独りぼっちのノッポな妖精

私があなたの笛になります

私の指はあなたの笛 天使のための笛だから

指をくわえて少女は奏でる

再び生まれた美しい音色

だけど少女は指を離す

どうしてですか と尋ねる妖精

これは私の音じゃないの 私は天使なんかじゃないよ

私はお姉さまがいなければ何もできないんだよ

妖精は悲しんだ

私には天使が必要なのです と

少女は微笑む ごめんなさい と

妖精はひっそりと去り 雪の下で静かに眠る

季節は過ぎ 少女は女の旅立ちを見送った

少女は笛を 思い出と共に捨てた

少女は見つける

雪の下から生えた笛を

いつかの妖精によく似た笛を

少女は悟る これが私の新しい笛

口にくわえてそっと吹く

稚拙な でも温かい音色

少女は懐かしい音に呟いた

私は天使じゃないけれど あなたのお姉さまにはなれるかも

ノッポの妖精は目覚めて言った

私の指はあなたの笛 お姉さまのための笛です

SS置き場トップに戻る
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送