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主二人
12「私が『闇の書』の主だ」
 
 
 
 リーゼ姉妹は、とあるマンションの前にいた。
 その姿は旧知のクロノでも気付かないだろう。二人は、外見上はごく普通の日本人であるように変身しているのだ。
「ごめん、アリア。あたしはパス」
「……またですか?」
「本当に御免。でも、あたしはどうしてもあそこは……」
 これから向かう部屋の暗く澱んだ空気をリーゼロッテは嫌っている。それは、任務を遂行するという意味では困ったことだ。
 とはいえ、リーゼアリアにもその気持ちは十二分にわかる。彼女もあの空気は嫌いなのだ。澱みきった、饐えた匂いが嗅覚ではなく精神に直接訴えてくるような気がする。
 それがその部屋の中にいる男たちの雰囲気であり、周囲を汚染する精神なのだろう。
 使い魔としての任務でなければ、絶対にあんな所へは行かない。近づきたくもない。
「気持ちはわかりますけど、これは任務ですよ」
 しかし今日ばかりは、アリアにも譲る気はなかった。そもそも、予想が正しければロッテが必要となるはずなのだ。
「えー。ここにいる連中って、リンカーコアの欠片もないんだし、何かあってもアリアだけでなんとかなるよね?」
「ええ。なります」
「だったら……」
「一人は嫌なんです」
 ぐ、と絶句するロッテ。昨日今日のつきあいではない。生まれた時からのつきあいだ。この言い方をしたアリアが絶対に譲らないということはよくわかっている。そして、この言い方をするほどアリアが追いつめられていることも。
「ごめんよ。あたしが我が侭だった」
「わかってくれればいいですから。じゃあ、行きましょう、ロッテ」
「わかったわかった」
 エレベータでマンションの6階へ。そして、6号室。目的の部屋へ近づくにつれ、リーゼロッテの表情が剣呑な物へと変わっていく。
「落ち着いてください、ロッテ」
「あたしは、あいつらが大嫌いだ」
「私も嫌いです」
 父様の任務でなければ、誰があんな男たちに近づくか。とロッテは呟く。その呟きにアリアはうなずき、次いで肩をすくめる。
「そろそろ、最後の我慢の日が来ます。それまでは我慢するべき」
 そして、アリアは6号室のドアに手をかける。
 開いた瞬間、無意識に呼吸を止め、すぐに自分の無意識の行動に心の中で苦笑する。
 同じ空気を吸いたくないほど嫌いか、自分は。
「おや、加藤さん」
 開いたドアの目の前。玄関先に陣取っていたジャージ姿の男。その男にありふれた偽名を呼ばれ、アリアは頷く。偽名であることは、雇われた男たちにもとっくにばれているだろう。しかし、男たちはそれを追求しようとはしない。
 それは雇われている者の矜持などではなく、ただ、無関心なだけだ。それも、無責任に容易く通じるタイプの無関心。
 部屋の中にいる男は三人。それぞれが別の地方から雇われているため、雇われる前からの面識はない。
 三人はそれぞれ時期をずらした一年間の約束で雇われている。四ヶ月に一度、三人の内一人が別の者と入れ替わるのだ。
「定期的に出てくる地名みたいなのは記録しておきました。それ以外は取り立ててありませんね」
「加藤さん?」
 玄関前にいた男とは別の男……眼鏡の男が下卑た愛想笑いを浮かべながら近づいてくる。
「あの、あのですね、映像記録ってやつ、復活しないんですかね。音声記録だけじゃなんというか、細かいところまでが……」
 ロッテが嫌悪を隠そうともせずに、眼鏡男に拳を突きつける。男の前髪が乱れ、数本が断たれ、宙に舞う。
「それ以上言うと、あんた、ぶち殺すよ」
「す、す、す、す……す、すんません!!」
 腰を抜かし、退こうとする男の手をロッテは捕まえ、軽く捻った。そして床に落ちる一枚の写真。
 男たちが雇われ、監視を続けている一軒の家族。そこの一人娘の着替えを盗撮したものだ。
 ロッテの表情が吐き気を我慢している様になる。
「この手のものを残すとどうなるか、前に言ったはずだよね」
「い、いや、それは、たまたま隅っこにあった奴を……今日あんたに渡そうと思って!! 本当だ! マジだって!」
「そうかい。だったら、没収させてもらってもいいね」
「も、もちろんだ」
 守護騎士たちの登場を察知した瞬間に、八神家に仕込んであった全ての映像記録端末は活動を停止させた。
 現代科学に対して守護騎士は疎いかも知れないが、映像記録端末から何らかの視線を感じるかも知れない。
 己自身もそれなりの使い手であるリーゼ姉妹にはその感覚はよくわかる。だからこそ、視線を感じさせる可能性のある映像記録端末は全て止めたのだ。眼鏡男が持っているのは、それ以前に記録していたもののコピーだろう。勿論、着替え中をわざわざ狙うことなどさせないが、四六時中監視を続けていれば嫌でもその瞬間はやってくる。
 もし、それが例えば、自分たちのような年格好の者を対象としていたならば苦笑と注意で済ませていたのかも知れない。とアリアは思う。
 しかし、この場合の対象はわずか十才にも満たない女の子だ。苦笑どころか、吐気と怖気が走る。注意を促す前に相手の正気すら疑うというものだろう。
 眼鏡男への対応はロッテに任せ、アリアは盗聴記録の抜粋を手に取った。
 蒐集行動の相談は、はやてが眠った後に行われている。あるいは、はやてが図書館へ出かけた時。どちらにしろ、決まった時間帯である。
 光という存在がいるため、相談は念話でなく肉声で行われている。
 すでに、ヴィータに対する罠は試験済みである。ザフィーラの介入により失敗に終わったが、似たような作戦が有効であることはわかった。
 このまま妨害を続け、蒐集ペースを乱し、ペースを増すために人間を襲わせる。そしてそれを理由に、管理局を介入させる。そこで、リーゼたちの介入により守護騎士たちと管理局の戦力を均衡させる。
 最終的には「闇の書」の覚醒と共に八神はやてをデュランダルによる凍結封印。そして虚数空間への追放。それで、「闇の書」は永久に葬られるだろう。
 それがグレアムの願いであり、リーゼの望みだ。
「また来週来ます。このまま続けていてください」
「わかりました」
 男たちを入れ替える時にその記憶は改竄され、八神に関する記憶は全て消える。
 彼らに残る記憶は「新薬の被験者」という記憶のみ。これならば、月単位の拘束も充分にあり得る話であり、実験内容の機密という設定も不審には思われにくい。
「あいつ、次も同じ事してたら、あたしは我慢しないよ」
 マンションの正面玄関を出たところで、ロッテが呟くように言う。
「ええ。私も同じ」
 アリアの答えに、ロッテは笑う。
「だけど、もうこれも終わります。八神はやてに、来年はありませんから」
「うん。わかってる」
 次の瞬間、二人はその歩みを止めていた。
 見覚えのある者が、目の前に立っている。正確には、前方の路肩に止められた車の横。地図を引っ張り出して何かを探している様子。
 よりによって……とアリアは心のなかで呻いた。
 何故、エイミィ・リミエッタがここに?
 PT事件での部隊はこの地球だった。そして、高町なのはという強力な魔道師の存在する世界である。考えてみれば、この世界自体が無視されている方がおかしいと言えたかもしれない。 
 彼女は魔力資質こそない管理局員だが、だからといって軽視するなどとんでもない。ただ、彼女には「魔力がない」だけ。それは「実力がない」と同義ではない。
 魔力がなければ、別の手段を使えば良いだけのことなのだ。どちらにしろ、魔法だけに頼る魔道師は管理局にいても単なる戦闘要員にしかなれない。
 しかし、エイミィは違う。グレアムに言わせれば彼女は、「リンディ・ハラオウンの後継者となりうる人材」なのだ。単なる「魔力が使えないオペレーター」ではない。
 即座に、アリアは念話でロッテと打ち合わせる。
 今の二人は変身魔法を使っている。そしてエイミィに魔力はなく、変身魔法がばれるとは思えない。しかし、だからといって甘く見ていい相手ではないのだ。
 ここにいるのも偶然ではないだろう。
 そこまで考えて、二人はエイミィの専門を思い出す。
 彼女の専門ならば、盗聴元を割り出すことは可能だ。そして車には、明らかにその手の機材が積まれているのがわかる。
 二人は、即座に対応を決めた。
 
 
 
 
 
 見知らぬ町で知らない人から話しかけられる。
 普通は慌てるものだ。
 しかし、エイミィは如才なく微笑んで、いきなり話し掛けてきた二人に尋ね返した。
「どなたでしたっけ?」
 本当に知らない相手なら、問題ない。
 知っている相手なら、何らかの理由で変装、あるいは変身している者だ。自分にはわかるわけもない。
 それでも、エイミィは相手の特徴を脳裏で検索する。
 地球にいてもおかしくない者。
 二人組の者。
 そして、おそらくは女性。
 変装ではなく、変身魔法が使える者。
 最後は勘だ。
「クロノ君なら、来てないよ?」
 二人組の一人が大きく笑う。
「ほら、これだ。これだから、クロスケの所の連中は困るんだ」
「本当に。どうしてわかるんでしょうか」
 正体を明かしたリーゼ姉妹の言葉に、エイミィの微笑みは深くなる。
「うん。ただの勘だから」
 フェイトの保護観察を担当するグレアムの補佐として、PT事件の重要関係者である高町なのはを観察するためにこの世界へ来たのだとリーゼ姉妹は言う。
 実際にも次元移動の届け出はその名目で為されているため、疑われることはない。
 エイミィも事実を告げ、八神家の盗聴元を追ってきたのは自分の技術者としての好奇心だと告げる。勿論、盗聴元がこの世界の関係者だった場合は介入するつもりはないと。
「もし、エイミィさんがただの好奇心で動いているのなら、お願いがあるのですけれど」
 アリアの言葉に、少し考えてエイミィは頷いて、是を返す。
「高町なのはを見ることはできますか? 会う必要はないんです。遠くから見るだけでも」
 この場からエイミィを引き離す理由としては適当だろう。疑われる余地はない。
 エイミィは考えるまでもなく頷いた。
 そして、ついてくるように言うと二人を車に案内する。
「グレアムさんに、お土産買っていくと良いよ」
「お土産? 何処に行くんですか?」
「ん? なのはちゃんのお家、喫茶店兼ケーキ屋さんだから」
 
 
 
 
 
 はやては、夢を見ていた。
 誰かが泣いている。何もない虚ろな空間で、誰かが泣いている。たった一人で。いや、はやてを含めると二人しかいない、不思議な空間で。
 見覚えはある。そう、ここには何度も来たことがある。
 ああ、とはやては頷いた。
 そうだ。ここだ。ここで、ヴォルケンリッターの名前を教えられたのだ。
「主はやて……私の無力を許してください」
「何言うてるの? 私は何にも怒ってへんよ?」
「今の私には止められません……」
 はやては首を傾げる。一体、何を止めようと言うのだろうか。
「あの存在を止めることは、今の私にはできない」
「わからへんよ。あの存在って何?」
「……フェルステーク。貴女のお父上によって名付けられた存在」
「お父さんが?」
 長い銀髪を振るわせ、深紅の瞳がはやてを見つめる。
「今の私は無力です。でも、貴女なら……主なら……今までとは違う貴女なら……」
 熱く強い女性の姿は、徐々に薄れていく。
「待って。誰なん? 貴女は、誰なん!?」
「私は、闇の書の……」
 目を開くと、そこには光の顔。
「……お父さん?」
「目ぇ覚めたか?」
「え? ……うん」
 起きようとすると、シャマルが優しくそれを制止する。
「寝ていてください。はやてちゃんが突然倒れるから、みんなビックリしたんですよ」
「え? 私、倒れたん?」
 見ると、シャマルの後ろではヴィータが泣きそうな顔でこちらを見ている。
「はやて……大丈夫?」
「あはは。大丈夫や、ヴィータ。心配させて御免な? 泣いたらあかんよ」
「泣いてねえ!」
「嘘はいかんな、ヴィータ」
 混ぜっ返すようなシグナムの言葉に、ヴィータは唸る。
「しかし主。心配したのは事実です。お身体にはくれぐれもお気を付けください。何かあるならば、御遠慮なく我々にお申し付けください」
「こらこら」
 シグナムの言葉を、今度は光が窘めた。
「心配してくれるんはええけど、甘やかしたらあかんで。それとこれとは話が別や」
 そしてはやてに向かい、
「はやて。昨日夜更かししたやろ」
「え?」
「部屋で携帯ゲームしてたやろ」
「私、PDCなんか持ってへんよ」
「……PDCなんて言うてへんけど?」
「あ」
「月村さんか、バニングスさんか、それとも高町さんか、誰に借りたんや」
「えーと……なのはちゃんが……景品で当たったけど、もう持ってるからって、貸してくれたんや」
 PDCとはポータブル・ドリームキャストの略称であり、それは現在大人気の携帯ゲーム端末機の名前である。
「そうやって、夜更かしばっかりしてるようやと、返さなあかんな」
「ごめんなさい。悪いのは私やから、なのはちゃんは悪ないよ」
「それはわかってる。とにかく、夜更かしはあかん。それから、今はゆっくり横になってること」
「はい」
「あとで、シャマルが温かいミルクでも持ってきてくれるから」
「え?」
「どした、はやて?」
「ううん。なんでもあらへん」
 素直に目を閉じたはやての様子を見て、一同は部屋の外へ出る。
(どう思う? シャマル)
(夜更かしは事実ですけれど、原因は別のものです)
(「闇の書」由来の衰弱か)
(はい)
 そこまで念話で話して、光はシグナムの微妙な表情に気付いた。
「どないした?」
 密やかな声に、シグナムは念話で返す。
(念話が使えるようになったのですか?)
(ああ。いつの間にか、使えるようになってみたいやな。僕の方には蒐集の効果が多少なりとも現れてるんか?)
(リンカーコア自体に変化があるわけはないと思うのですが……)
(そう言われてもな。使えるんやからなぁ)
 シグナムは少し頭を捻り、シャマルと光を見比べる。
 そして、またもや複雑な顔で頷いた。
(わかりました。おそらくシャマルが中継して、我らとの念話が成立しているようです。御尊父とシャマルの間では、念話は間違いなく繋がっています)
(っていうか、光とシャマルは念話より精神リンクの方が近くないか?)
 ヴィータの問いに、慌てるシャマル。そしてシグナムが言う。
(ヴィータ、あまり追求するな。御尊父が念話を可能としているのは悪いことではない)
(んー。別に良いけど)
(なんや、二人とも気になるな。言いたいことがあるんやったら言うてもろたほうがええんやけど)
(大したことではありません。御尊父とシャマルの間に精神リンクが繋がれた理由が推定できる。それだけです)
(推定て……)
(御尊父はいつの間にか、シャマルを呼び捨てているようですし)
 シグナムの言葉に、光はシャマルを見た。
 シャマルも、光を見ている。
 二人の表情が真っ赤に染まった。
「い、いや、あの、な、シグナム。それは」
 全員からの視線に少しの間黙り、そして光は胸を張る。
「よし。今日から全員呼び捨てることにする。ヴィータ、ザフィーラ、自分らも構へんやろ?」
「あたしは別に良いけど」
「無論です。御尊父」
 シグナムに指摘された瞬間、光は気付いたのだ。
 はやての前で「シャマル」と呼び捨て、はやてがそれに反応していたことを。
 だから、全員呼び捨てる。
 シャマルとの関係を恥じているのではない。言ってしまえばこれは照れだ。本人は決して認めないだろうが、照れなのだ。
 そして光はそのまま四人を書斎に招く。
 これからの行動に関する会議である。
 
 はやての病状の悪化。
 さらに、何者かの妨害工作による蒐集の遅延。
 魔法生物相手に限定した蒐集には限界がある。そもそもが、かなりの無理を承知した上での計画だったのだ。妨害工作など計算には入っていない。
 そして、解せないのが妨害工作の手際だった。
 どう考えても、蒐集場所をあらかじめ知っているとしか思えない罠が仕掛けられている。それも一度や二度ではない。ほとんど毎回に近いのだ。
「……リンカーコアを奪っても、必ずしもそれが死に繋がるわけではない。確か、そやったな」
 光の言葉に頷くシグナム。
 リンカーコアを根こそぎ奪えば、同時に命すら奪うだろう。しかし、命を奪わずにリンカーコアだけを奪うことは、人間相手ならば不可能ではないのだ。
 命すら奪うつもりで奪ったリンカーコアの量を百とするならば、命を守って奪う量は九十五。その程度の差でしかない。
「最悪の場合は入院治療が必要でしょうが、よほどでなければ怪我は残りません。リンカーコア自体も、時間が経てば回復するでしょう」
「それなら……魔道師から奪うことも考えて欲しい。ただし、命は絶対に奪ったらあかん。それだけは絶対に守らなあかんねや」
 そしてもう一つ、と光は続け、四人はその発言に驚愕する。
 
 
 
 
 
 とある管理外世界での戦闘は激烈を極めていた。
 武装隊の指揮官は考えていた。今回こそ「闇の書」に始末を付けることができると。
 送られてきた匿名の情報の内容は、これまでの所おおむね正確であった。
 それでも、今までヴォルケンリッターを取り逃がしている理由は二つ。
 一つは、匿名情報源への疑いが完全に晴れたわけではないので、ある程度の疑念を残した対応になったこと。
 二つ目は、ヴォルケンリッターの戦いぶりが何故か消極的だったこと。
 今回は管理局もそれなりの部隊を派遣している。一連の戦いぶりを見ている限り、ヴォルケンリッターを捕らえる、あるいは滅するには充分の布陣だ。
 そして一時間後。成功するはずだった作戦は見る影もなく崩壊していた。
 シグナム、ヴィータ、ザフィーラ。情報通りのヴォルケンリッター三人。そこにシャマルの姿がないのは、攻撃側にとっては有利になりさえしても不利ではない。それは武装局員たちの士気をあげるだけだった。
 これまでとは二つ、大きな違いがあった。
 まず一つはヴォルケンリッターの戦いぶりであった。それは、過去の「闇の書」事件を彷彿とさせるものに戻っていたのだ。
 いや、それだけならばここまでの崩壊はなかっただろう。そこに現れた別の要因さえなければ。
 大きなコートを被る様に着込み、仮面を被った男。
 男は、魔法生物と全く同じ火炎を放ち、武装局員の陣を破壊したのだ。
 破壊された陣に斬り込む、あるいは殴り込むヴォルケンリッターの前に、武装局員は各個撃破されていく。 
 それでも、指揮官は足掻いた。
 負けるのは決まっていたとしても、一矢報いなければ自分の気が済まない。
 指揮官は一直線にコートの男を目指した。それは、長年武装局員を務めていた男の勘だった。
 そして彼はラケーテンハンマーの一撃を受け、地に倒れ伏す。
 コートの男は、抵抗する術を喪った彼に近づいて、こう言ったのだ。
「よく覚えておけ。私が『闇の書』の主だ」
 リンカーコアを奪われる激痛の中で、彼はその声を聞いていた。
 
 
 
 
 
 
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