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 ごきげんよう、私はリリアン女学園高等部、『先代』新聞部部長の築山三奈子よ!
 今回は私『本来』の「ジャーナリスト」としてのレポートをお披露目するわ!
 まぁいつもの様な確実にみんなの目を引く様なスクープ記事を書くのも楽しいのだけれど、私もきちんとした記事も書けるって事を見せておかないとね。
 題して
Toraditional of ROSE GARDEN
case:RED
 よ!
 そうね邦題は「山百合会の伝統 紅薔薇の場合」ってとこかしら?
 
 山百合会には一般生徒のみんなが知らない「伝統」ってものがあるのよね。実の話。
 で、今回私が気付いたのは紅薔薇一家の話。
 ぶっちゃけて言うと此処は非常に「上下関係」ってのがはっきりしてるのよね。
 そりゃぁもう男子校の体育会系のノリか?って言うくらいに。
 一番の顕著なもの―て言うか唯一の不文律なんだけど―が
「妹はお姉様に逆らえない(逆らわない)」ってとこかしら
 基本的にどこの姉妹でも普通はそうなんだけど、紅薔薇一家の場合はそれが顕著なのよね。
 特に今のつぼみとつぼみの妹の関係を見てみれば解るわよね?
 もともと紅薔薇のつぼみの妹(ロサ・キネンシス・アン・ブゥトン・プティ・スール)の細川可南子さんは紅薔薇のつぼみ(ロサ・キネンシス・アン・ブゥトン)の福沢祐巳さんにある種の妄信的な崇拝を捧げてたわ。そりゃあもう誰が見ても明らかなほどにね。
 まぁ皮肉な事に、それに気が付かなかったのはその崇拝を受けていた当の本人だけだったんだけど。
 で、まぁ一度その縁は切れちゃったらしいんだけど、どうやらいろいろあって再び結びついた二人には以前よりも強い絆が結ばれている様ね。
 見てるこっちが妬けちゃうほどよ?あれは。祐巳さんと現紅薔薇さま(ロサ・キネンシス)の小笠原祥子さんとの絆も相当なモノだけど決して微塵にも劣っては居ないわね。
端から見てもよくわかるくらい仲睦まじいスタンスを見せてるけど、あの二人は明確に「主従関係」ってのがその底辺に隠れているわね。私には見えるのよ!。
 さすがにあからさまな『絶対的支配系の主従関係』って訳ではなさそうだけど、あの感じは『王様』と『専属近衛護衛騎士』って感じだから『主従関係』って言い方は間違ってないわよね。まるでどっかのゲームキャラの様な台詞が似合いそうだわ。
「問おう、汝が我が姉(グラン・スール)か?」なーんてね。
 
 
 次に紅薔薇さまとつぼみの関係よね。
 紅薔薇さま―小笠原祥子さんと福沢祐巳さんはリリアンでは知らない者など居ない程の有名カップルだったっけ。
 祐巳さんの幼稚舎の入舎式のその日に、マリア像の前でスールの誓いを立てたと言われる『リリアンの生ける伝説的姉妹』だから、あの二人は。
 そうね、さっきとは違って此処はどちらかと言えば『絶対的支配』が似合うかしら?。
 まぁ…最も主従が時たま入れ替わる事もあるらしい(未確認だけど)から複雑なんだけど。
 さっきのつぼみとつぼみの妹 の関係と非常によく似てるけど、こっちはより俗物的だわ。モロに『御主人様』と『被使役者』って感じね。
 まぁもっと解りやすい言葉があるんだけど、さすがにそれを使っちゃうとね…(汗)
 新聞部が『お取り潰し』に成りかねない事になっちゃうから…紅薔薇さまのお怒りで。
 だからこれは私の心の中にしまっておくの。
 
 んでもって、最後が先代紅薔薇さまと現紅薔薇さまね。
 先代紅薔薇さま―水野蓉子様と現紅薔薇さま―小笠原祥子さんの関係も「主従関係」に近いわね。
 そう言えばこの二人の関係には謎めいた噂があるのよね。
とある筋から聞いた所によると、祥子さんは蓉子様のスールの誘いを一度は固辞されたらしいのよね。その時祥子様にはいわゆる『プティ・スール』と言えた祐巳さんが居らしたから。
でも、最後は自らロザリオを受けたと言うのよ。
 その様子はあたかも『敗者が勝者に従属を誓うかの様な感じ』だったらしいから謎は深まるばかり…
 残念なのはこの話を聞いたのが蓉子様が卒業された後だったため、確固たる裏付けが出来なかったのよね。さすがに近しい人物からのリーク情報とは言え、憶測が強すぎたし。
 それに私のお姉さま―当時の新聞部長と蓉子様は紳士協定を結ばれていたから突撃取材もままならなかったし…
 はっきり言ってあのときのスクープ写真が撮れたのは僥倖だったわ。
 『ミスパーフェクト』の二つ名を冠した殿堂入り間違いなしの水野蓉子様と『真・御嬢様』の通り名を持つ祥子さんとのいきさつ…かわら版に出来ればそれこそ私のスクープ写真なんてかすれてしまうほど―それこそ伝説に残る一枚になったでしょうね。
 まぁ、そんな二人なんだけど、こっちも二人を形容するにぴったりな言葉があるのよ?
 でもやっぱそれを言ってしまうとね…(汗)一応、現紅薔薇さまとそのつぼみの関係を表す語句と同じな事は確かよ。
 ええ、間違いなく。
 
 
 
 そうそう、参考までに私の私見的モノになってしまうのだけど先々代紅薔薇さまと先代紅薔薇さまの関係ってのも参考になるかしらね?
 先々代の紅薔薇さまは…ある意味「もの凄い御方」って言ってのけれるわ。
 まぁ当時私は一年で向こうは三年、年齢と言うものあったでしょうけどそう言う些細なモノなんかまるで関係ないって感じだったから。
 容姿端麗成績優秀は当たり前だけど、彼女のすごさは現紅薔薇のつぼみの祐巳さんのそれを遙かに上回る「天然さ」にあったのよ。
 何せ、あの「完璧超人」「ミスパーフェクト」等の数多くの異名を持つあの水野蓉子様を軽々と手玉にとっていらっしゃったから。
 ギスギスした場において絶妙とも言えるボケを持って見事に間を外してみせたとか、現白薔薇のつぼみである藤堂志摩子さんのそれを遙かに上回るほんわかした御自身のオーラを自由自在に操ったとか。
 そして、有無を言わせぬ世にも不可思議なプレッシャーを醸し出したりしたとかとか…
 うわさ話を集めれば項目の枚挙にいとまのない人物だったらしいわね。
 まさに「無敵の天然」だったわ。
 後に蓉子様からいろいろインタビューで聞かせて頂いたけど、「お姉様に関して一言」の問いに、
『そうね、おそらく一生敵わないわ、あの人には』
 と必ず仰っていたわ。
 外部の大学―それも遠方の―を受験されたそうなのでお会い出来る機会はほとんど無いのだけれど、一度じっくりお話をしてみたかったかも…
 
 
 
 あ、でもそうなると、『紅薔薇の家系の伝統』は確固たる証が出来るわね。
 曰く、
『姉は妹の持つ才能や能力をいろいろな意味で無効化出来る能力を持っている』
 だから、
「妹はお姉様に逆らえない」
 と言う事ね。
 運動神経抜群で学力も優秀な可南子さんは運動も学力も平均レベルよりやや上クラスの祐巳さんに何故だか全くと言って敵わない。
 そのストレートさ(天然とも言うけど)リリアンの大半の生徒に慕われている(そう感じられる)祐巳さんの心を誰よりも強くそう、ほぼ完全に惹き付けている祥子さん。
 リリアンの学生としてもプライヴェートにおいても「完全無欠」な御嬢様である祥子さんをそれこそ孫悟空の様に掌で動かす事が出来ていた蓉子様。
 『ミスパーフェクト』と呼ばれるほど何をやらせてもそつの無かった蓉子様をまるで子供扱いの様に振り回していた先々代の紅薔薇さま。
 
 新聞部に伝わる極秘資料を紐解いてみたけど、他の薔薇さまや一般の姉妹にはほとんど当てはまらないケースが多いのに、こと紅薔薇家に関しては数代に渡ってこの検証は出来るみたいだから、もはや間違いはないわよね。
 
 とりあえず、今現在解る事はこんな所かしら?
 残念ながら過去は解っても未来はまだ解らないのよね…
 これからの紅薔薇家がそれまでの伝統に則った形で続いてゆくのか、それとも誰かが違った花を咲かすのかは私にも追い切れないのよねぇ…
 ま、その辺は我が親愛なる妹であり、私以上の洞察力と冷静さを兼ね持った現新聞部部長の山口真美や、そのプティスールでこの私の昔を思い出させる見事なフットワークと熱い記者根性を持つ将来有望な高知日出美ちゃん達に任せるわ。
 
 そう! これはリリアンが、ひいては山百合会と新聞部が続いてゆく限り検証を続けていかなければならない事なのよ!
 
 伝統は続いてこそ―なのだから。
(文責・築山三奈子)   
 
 
あとがき
 
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