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(猫子さまより戴きました)
 
召しませ甘味
 
 
 
「…柑橘類って美味しいわよ。レモンの酸味も、慣れれば癖になるわ」
「…実は最近、銀杏もあれはあれで悪くないかなって…」
 
 そんなことを言いながら黄薔薇様と白薔薇様が去っていった、薔薇の館。
 祐巳は未だ微かに震えながら、潤んだ瞳で祥子さまを見上げている。
 祥子さまはそんな祐巳の首元に顔を埋めたかと思うと…左の耳をぺろりと舐めた。
「お、お姉さま?」
「あら、だってここは白薔薇様に舐められていたでしょう?消毒よ、消毒」
 そう囁きながら耳の後ろを舐めるのと同時に、耳元に息を吹きかけるのを忘れない。
 その攻撃に、祐巳のくちびるから吐息とちいさな声が漏れはじめた。
「ひゃうっ!」
「それから、此処は黄薔薇様に」
 鼻の頭を舐められる。それはすなわち顔同士が至近距離にあるという事で。
 その事実に心臓がバクバクするのを止められず、祐巳は瞳をぎゅっと閉じた。
 瞳を閉じた、直後。唇に何か、やわらかいものが、触れた。
「それ」は何度か触れたり離れたりを繰り返し、そして。
 ぺろり、と唇を舐めていった。
「…甘い、わ」
「おおおおおおおお姉さま?!」
 瞳を開けると其処には甘いまなざしの祥子さま。
 何をされたか、なんて。祐巳には当然わかってはいたのだけど。
 だけど、その続きへの心の準備が出来ているかと言えば…そんなわけはなく。
 祐巳が軽いパニックに陥ってる間に、祥子さまの腕がまわされる。
 ぎゅっと抱きすくめられ、祐巳の胸元にはやわらかい感触。
 そして耳元で囁きかけられたら………もう、逃げられない。
「ねえ、もっと…いい?」
「えっと、その、あの…んっ」
 甘い視線に甘い囁き。
 そして、絡みつく甘い舌触り。
 祥子さまは祐巳のことを「甘い」と仰るけれど。
 祥子さまだって十分、甘い。
 甘いあまいその感触に、思考までもが甘くなる。
 
 声も、吐息も。
 祐巳のすべてが、甘くなって。
 祥子さまに美味しくいただかれたのは…言うまでも、無いだろう。
 
 
あとがき
 
 
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